海洋プラスチックごみの量

 海洋プラスチックごみが問題なのは、その量です。少なく見積もった場合でも 年間800万トンで、いまも増え続けています。このペースでいくと、2050年には海の中のプラスチック総重量が、魚を上回るという予測 (※) です。

※ Ellen Macarthur Foundation (エレン マッカーサー 財団) が、2016年1月 の 世界経済フォーラム で発表した内容に基づきます。
 ⇒ ●2015年 海洋プラスチック推定蓄積量 1億5,000万トン、●海洋漏出プラごみ年間増加率=2025年迄 +5% (予測値 910万トン@2015年 と 1750万トン@2025年 から求まる増加率6.8%より控えめにしたと記載)、2025~2050年 +3.5% (GDP成長率推計値 World Energy Outlook 2015と整合的と記載) 、●魚資源 2015~2050年一定想定 (乱獲による減少の可能性は含まない控えめな仮定と記載)

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800万トンという量の多さ

 海に流れ込むプラスチックごみの量=年間800万トン。想像することが困難な程に膨大な量なため、少しでもイメージできるように身近な乗用車を例に考える。仮に乗用車 1台を1.5トンとした場合、530万台に相当する重さである。少々乱暴な言い方ではあるが、2022年の四輪車新車販売台数 420万台 (※1) すべてを海に放り投げても、110万台分足りない重さが800万トン。とてつもなく膨大だということが、少しはイメージできると思います。

800万トンという数値

 様々なサイトで、海洋プラスチックごみが毎年800万トンずつ増え続けているという記事を目にするが、数値の出所や性格について言及されていることは少ない。800万トンという数値だけが独り歩きしているようだ。

 この数値が発表されたのは、2015年2月13日 発刊 のScience誌。”Plastic waste inputs from land into the ocean” というレポートで報告されている。

 この図は、そのレポートの著者であるジョージア大学 助教授 Jenna Jambeck氏が、AAAS (the American Association for the Advancement of Science) の Panelで使用した際の資料で、レポート内容を説明している。

 上記の図より、プラスチックごみの総量における海洋へ流出する800万トンの位置づけをグラフ化。

800万トン

・この800万トンという数値は推定値である。

・沿岸地域における管理されていないプラスチックごみの量を推計し、その一部が海に流れ出るという計算を行っている。

・ここでの沿岸地域とは、192ヵ国における海岸から50km以内に住む20億人を対象とした地域である。

・管理されていないプラスチックごみの量に対して、15%、25%、40%の換算係数を用いて海洋流出するごみの量を推定している。

・これらの換算係数は、サンフランシスコ州における調査から、管理されていないごみの61%が平均的に海に流れ出ていたことから、控えめな水準として15%、25%、40%とされた。

・2010年 プラスチック製品 世界総計 2億7,000万トンを前提に、沿岸地域の管理されていないプラごみ量 3,190万トンと推計。

・3つの換算係数を用いて、海洋へ流れ出すごみの量480万トン、800万トン、1,270万トンの推定値を得る。
 ⇒ 中間値の800万トンが代表的に使用されることになった。

 これらは、Science誌 “Plastic waste inputs from land into the ocean” ページのResources欄の “jambeck.sm.pdf” 内にて記載。

 ちなみに、この資料では 2010年データを基にした800万トンという推定値と同様に、2025年の海洋流出するプラスチック量 1,750万トン も推定されている。800万トンの倍以上となっているので、可及的速やかな問題解決に向けたアクションが必要な状況にあると感じる。

 これらの推定値を出す上で、元となった各国データについては、”1260352_supportingfile_suppl._excel_seq1_v1.xlsx” 内にて記載されています。

さいごに

 海洋プラスチックごみの量をこちらで取り上げたのは、地球環境について考えるきっかけにしたいとの思いと、行動を始める原動力にしたいとの思いからです。国ごとや個々人が置かれている状況は異なるので、一辺倒な対策や対応は無意味かも知れません。複雑に入り組んだ課題だからこそ、考える力と行動する力、コミュニケーション力が試されているのだと感じます。

 時間があれば、是非海岸を歩いて自分の目で現実を確認されることをお薦めしたい。海洋プラスチックごみの状況を知ることで、何か気付きが得られると思います。

関連情報リンク

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