リアルなマイクロプラスチック
これらは、神奈川県 平塚海岸 高浜台付近の砂浜で採取したマイクロプラスチックです。
左が500ml ペットボトルに採取したマイクロプラスチック
右が900ml ペットボトルに採取したマイクロプラスチック
いずれも1時間前後でこの量になりました。驚くほどたくさんのフレーク状のプラスチックが落ちています。元が何だったのかが分からないくらいに小さく砕けています。色もとてもカラフルです。
プラスチック片の多くは海で捨てられたのではなく、街のごみが川を伝って海に流れ出て、その一部が、波や風により海岸に打ち上げられているのだと考えられます。
海岸でちょっと拾うだけでこれほどのプラスチック片が落ちているということは、海の中はもっと多くのプラスチックがあり、2050年に魚の重さを超えると言われている話にも、合点がいきます。
マイクロプラスチック~名称と定義
マイクロプラスチックという言葉は広く一般化され、多くの人が聞いたことのある言葉になりました。しかし、その歴史は非常に浅いです。
マイクロプラスチックという名称が使われ始めたのは2004年。そのことが、Microplastic’s story にて紹介されています。当初は 20μm程度の大きさのプラスチック片を指していたそうです。
それが、2008年 ワシントン大学で開催されたアメリカ海洋大気局 NOAA (National Oceanic and Atmospheric Administration) 主催の国際ワークショップにて、「5mm未満のプラスチック片のことをマイクロプラスチックと呼ぶ」 ことが定義づけられ、広く知れ渡ることになりました。
5mm未満 が正しい理解だが、日本語の記事や投稿では、5mm以下という表現が用いられていることが多い。
未満とは、より小さいと同義で、その数値を含まずにある数値より小さいことを示す。一方、以下とは、その数値を含んだ小さい値を示す。
マイクロプラスチックに関して、5mm未満だろうが5mm以下だろうが、特に問題になる話ではないと考えるが、原文を正確に理解しておきたいとの思いから、ここでは5mm未満のプラスチック片のことをマイクロプラスチックと呼びたいと思う。
ちなみに、以下や未満、以上やより大きいという状態を、図や数式で表すと下記となる。今回のように、smaller than は、その数値を含まないので x < a となり、白丸○表記。以下のように、その数値を含ませる場合は、x ≦ b となり、黒丸●表記となる。
マイクロプラスチックの問題
マイクロプラスチックは名前の通り小さいことが問題です。すでに生態系に紛れてしまっています。5mm程度の目視できる大きさであればまだよいのですが、ナノサイズにまで細かくなったプラスチック片が、あらゆる場所から見つかっています。大気や土壌、水道水やペットボトル飲料からも見つかっています。つまり、口にするもの全てに、小さなプラスチック片が入っていると言っても過言ではない状況に、実はなっています。
話題になっていないことが不思議なくらいです。プラスチック製品のメリットばかりを強調し続けた結果、デメリットの側面が徐々に明らかになりつつあります。
下図は、海に浮かぶマイクロプラスチックの量を予測したグラフになります。3つのシナリオが考えられていますが、灰色破線の2020年以降 海に流れ出るプラスチック量を止めた場合でも、海面上のマイクロプラスチックは増加していくことが示されています。
多くの懸念が示されているマイクロプラスチックですが、弊害に関する研究は始まったところです。動植物や人の体内からもナノサイズのプラスチック片が見つかっている事実はあるものの、目に見えた形での健康被害が確認されていないことが、話題性に欠ける理由なのかも知れません。
マイクロプラスチックに関する情報については、別トピックとして取り上げていきたいと思います。
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