海洋プラスチックごみ問題を解決していきたいという熱い思いを持ちつつ、冷静な視点で適切な対応が出来るように、プラスチック生産量のこれまでと今後について把握したいと思います。
様々なところでプラスチック素材が用いられている今日。身の回りを見渡しただけでも、ありとあらゆる所でプラスチックが使用されており、プラスチック無しの生活は、かなり困難な状況です。形を自在に変えられ、添加剤で様々な機能付加ができることもあり、プラスチック使用量は今後も増え続けることが予測されています。
この状況から、プラスチック生産量も右肩上がりが推測されています。OECD (経済開発協力機構) が見積もっている数値予測はこちらです。2019年 4億6000万トン に対して、2060年 12億3100万トンの予測で、2019年比 約2.7倍 ものプラスチック生産量となる見込みです。
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プラスチックごみも増加
プラスチック生産量が増え続ける予測がある一方、プラスチックごみ (廃棄物) も増える予測がOECDで立てられています。
こちらのシナリオでは、今後数十年でプラスチックごみが大幅に増加し、2019年 3億5300万トン に対して、2060年 10億1400万トンに増加すると予測されています。COVID-19によるパンデミックからの回復や、継続的な社会経済の発展と経済成長から、プラスチック使用量が急速に増加すると考えられています。新興国や発展途上国でのプラスチック使用量が急増も影響しています。
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海洋プラスチックごみも増加見込み
プラスチック生産量が増えると、プラスチックごみが増え、そして、管理されないプラスチックごみも増えるので、結果として海洋プラスチックごみも増加する見込みです。
上記の図4.1内で示したプラスチックごみの総量に対して、リサイクル (Recycled)、焼却 (Incinerated)、埋め立て (Landfilled)、管理されていないプラスチックごみ (Mismanaged) の4つに分類したのが、下記の図4.2.2になります。
管理されないプラスチックごみの割合は、2019年 22% から2060年予測 15% と減少していますが、プラスチックごみ総量が増加することから、管理されていないプラスチックごみの絶対量は、3億5300万トンから10億1400万トンへとほぼ倍増する予測です。この管理されていないプラスチックごみの一部が、海へ流れ出るため、海洋プラスチックごみ量も増加すると考えられます。
また、リサイクル (Recycled) の比率が、2019年から2060年予測で、9%から17%へと大幅に増加し、循環型社会へ変化していくことが織り込まれていますが、生産量の急激な増加には追い付けず、プラスチックごみの総量は、2019年 3300万トンから、2060年 1億7600万トンへ増加する見込みです。
ちなみに、焼却量 (Incinerated) は、2019年 6700万トンから 2060年 1億7900万トンへと2.7倍増加 、埋立て量 (Landfilled) は、2019年1億7400万トンから 2060年 5億700万トンへと2.9倍となる予測です。焼却も埋立ても、2019年と2060年で比率がほぼ変わらないことから、最も一般的な廃棄物管理方法となっています。
ひとこと
ご覧いただいた通り、プラスチック生産量は増加する見通しですが、環境汚染や地球温暖化などの地球環境問題とも複雑に関連しているため、こういった情報を活用しながら、如何に無駄なプラスチックを減らしていけるかを、皆さんとご一緒に考えていけたらと思います。
関連情報リンク
もっと知りたい | 海洋プラごみ関連情報プラットフォーム |
OECD Global Plastics Outlook | データセット |