まえがき
現時点、プラスチックによる人の健康被害は報告されていません。事が起きていないので、懸念があることも知られていないのだと思います。しかし、人間の健康影響が懸念視されているプラスチックが、劣化や摩耗によって体内に入り込んでいることを知ったら、人の行動は変わるのでしょうか。
これまで、プラスチック片が体内から発見された事例 や、プラスチック添加剤の有害性から定められた条約や規制 など、プラスチックを取り巻く状況をいくつかの視点でお伝えしてきました。情報をお届けしながら私の身の回りを見渡すと、安易に選択したプラスチック製のモノが多くあることに気づかされます。そして、無意識にプラスチック片を体内に取り込んでいる可能性がいくつも発見できました。”まな板” や “タッパー” もその一例ではありますが、今回は “おろし器” についてご紹介させていただきます。
おろし器
キッチンにはプラスチック製のモノが多くあります。かつては、金属や陶器、ガラスだったものが、いつの間にかプラスチックに置き換わっています。プラスチックが、現代生活に欠かせない素材の一つであることは言うまでもありません。その便利さから、広がりの一途を辿っていますが、本当にこのままで大丈夫なのでしょうか。
不思議なことではありませんが、モノは使用する度に劣化し、摩耗します。我が家の “おろし器” はプラスチック製で、数年使用していました。おろし部分をよく見ると、刃のエッジは削れ、丸くなり始めていました。恐らく、食材をおろすたびにエッジが削れ、その削れたエッジは食材と混ざり、知らないうちに体内に摂り入れてしまったのだと思います。
おろし器に特段の思い入れがないので、材質を気にすることは無かったですが、プラスチックが健康に影響する懸念を知ったいま、プラスチック製でないおろし器に買い替えました。陶器製おろし器は割れた経験があったので、今回は金属製にしました。これで、おろし器から生み出されるプラスチック片を摂取することは無くなりました。
さいごに
地球温暖化による気候変動は留まるどころか、猛威を振るい始めています。また、過剰なプラスチック使用が、海洋プラスチックごみ問題を深刻な状況へ発展させるだけでなく、地球環境を劣化させています。
我々人類が、地球上でもっとも優れた動物なのだとしたら、自己の欲にまみれた生き方をするのではなく、社会的動物としての側面をもう少し前面に出し、社会全体をより良くする方向へ舵を切る必要があると思います。流言に惑わされず、事実を知った上で必要な行動を取っていきたいと思います。