生活の一部となっている移動手段であるクルマ。知能化、電動化の大きな波で、そういった機能が搭載されたクルマが広がりつつあります。クルマが進化していく中でも関心ごとの一つに、燃費改善による出費削減を願う方は多いのではないでしょうか。
そこで、自動車開発の元エンジニアで、とりわけクルマの性能向上を生業としてきた私だからこを伝えたいクルマの燃費に関する情報をお届けしたいと思います。
燃費改善による期待
この投稿が多くの人の目に留まり、少しでも燃費が改善できた暁には、実践された方のお財布に優しく、地球環境にも優しい活動になると思います。技術的な話も交えて、お伝えしていけたらと思います。
序
クルマは「走る」「止まる」「曲がる」の3大機能が付いた移動体で、燃費に直接関係がある機能は「走る」です。いまさら声を大に出して言うまでもありませんが、ドライバーはアクセルを操作してクルマを走らせます。つまり、アクセル操作は燃費に直結しているのです。
ふんわりアクセル操作とは?
アクセル操作が燃費改善の鍵となりますが、どのような操作をすれば燃費改善につながるのでしょう。一般的には「ふんわりアクセル操作」と言われている操作ですが、”ふんわり” とは抽象的でふわっとしているので、具体化したいと思います。
結論・・・ふんわりアクセル操作は、加速度 0.2G以下@発進時 と言いたいと思います。
信号待ちで先頭車両がバビュ~ンと勢いよく発進する時の加速度は 0.3~0.4G 以上といったところなので、その半分程度が 0.2G です。また、公共バスで立った乗客が倒れない程度の発進加速度が 0.2G以下 です。そーっと発進する感じになります。
そして発進時の加速度 0.2G以下 となるアクセル操作の感覚がマスターできたら、それをスピードが出ているシーンでも実践することで、どのスピード帯でも ”ふんわりアクセル操作” ができることになります。
普段バビュ~ンと発進されている方だと、物足りない加速度に感じるかも知れませんが、燃費改善&将来の住みやすい地球環境のためと思って挑戦してみてください。
蛇足
ちなみに、国交省が定める燃費計測方法; 現状 WLTC、以前は JC08 や 10-15M における発進加速度は、いずれも 0.2G 程度以下です。
また、カタログ表記の燃費値が実路走行で出ないという話をよく聞きますが、その理由の一つは加速度です。燃費試験時よりも強い加速度だと、消費されるエネルギーも多くなり燃費値は下がります。燃費値は、加速度以外にも様々な要因の影響を受けるため、カタログ通りの燃費値を得ることは稀かも知れません。それらについては追々紹介していきたいと思います。
ちなみに話は少し脱線しますが、マニュアル車もオートマチック車も、発進時に出せる加速度が、概ねそのクルマにおける最大加速度で、0.4~0.6G 程度です。クルマの重量バランスやタイヤのグリップ性能によっても違ってきますが、これ以上の高い加速度を出そうとするとホイルスピンします。
【ドライバーのみなさんへ】
安全第一です!
燃費だけに気を取られず、周囲の交通状況に注意しながら運転しましょう!