ペットボトル
2回目は “ペットボトル” です。
軽くて、持ち運べ、衛生的で、何処でも購入でき、飲み終われば捨てられるペットボトル。便利なことは言うまでもありません。
しかし、便利な側面だけに光が当て続けられていることで、我々はポジティブな印象を強く持ち、ネガティブな側面に目を向けてきませんでした。あまりにペットボトルが生活の中に溶け込み、何の疑問も持たなくなってしまっているからだと思います。
ネガティブな事例には、その販売数の多さ、原料生成~製品化~廃却後の焼却~リサイクルに至るどのシーンでも二酸化炭素が排出され、地球温暖化を促進している点、ポイ捨てされたペットボトルが海へ流れ出し、海洋プラスチックごみとなっている点などがあります。また、ペットボトル飲料には目に見えないマイクロプラスチックが含まれており、知らないうちに体内に取り込まれている状況もあります。いずれも好ましい状況でないと思います。
※上記画像をクリックすると ”私たちはプラスチックを食べている” のページが開きます
現時点、健康被害は報告されていません。
状況をより正しく理解するために、日本国内で販売されているペットボトルの量がどれほどなのかを、調べてみました。2022年、241億本、58万3千トン が販売され、55万トンが回収されていました。回収率 94.4% となっており、かなり優秀な状況に思えましたが、5.6% に相当する 3万3千トン (13億6千万本相当) は回収されずに、焼却もしくは海洋プラスチックごみとなっていると考えられます。
PETボトルリサイクル推進協議会ホームページ掲載の数値よりグラフ化
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ここで、日本から海へ流れ出したペットボトルの量を推測するため、かなり乱暴ですが、Jambeck氏 らが見積もった海洋プラスチックごみの年間増加量 800万トン が見積もられた際の比率を用いて、海洋プラスチックごみとなったペットボトル本数を見積もると、7億1千万本 となりました。実際には分かりませんが、かなりのペットボトルが海へ流れ出ていることが伺えます。
※Global plastic production = 270 million metric tons と plastic waste inputs from land into the ocean =8 million metric tons の相関より、生産されたプラスチック総量の 2.96% が海洋流出しているとした。日本における販売量は、58.3万トン (241億本) なので、2.96% に相当する 1.73万トン (7.1億本) が日本から海へ流出したペットボトル量と推定。
※2015年にJambeck氏らによって発表された 「Plastic waste inputs from land into the ocean」
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ちなみに、JAMSTECによる最新の調査で、日本から海に流出したペットボトルは、その比重から比較的近海の海底に沈むことが示唆されました。海に流れ出てしまうと浮いていても回収は困難ですが、沈むとなると益々困難なので、見つけたポイ捨てごみは陸で拾うことが大事ですね。
脱ペットボトルのすゝめ
恋は盲目と言われます。惚れ込んだペットボトルとの別れは辛いかもしれません。ですが、2度目の恋をすれば、きっと新たな時間が始まります。初恋の思い出はそのままに、2度目の恋を Enjoy しましょう。
ということで、マイボトル から始めてみませんか。色や形などの見た目だけでなく、保冷性・保温性、炭酸OKといった機能面も考慮に入れると、選ぶ作業も楽しいです。そう、2度目の恋も、始まる前から楽しいんです。生活スタイルに合った容量を選ぶのがお勧めです。
私はステンレス製の保温&保冷性のある 350ml の水筒を選びました。長く使えることと、マイクロプラスチックが混入する懸念を極力払拭したかったから。過剰防衛と言われるかもしれませんが、2度目の恋は慎重さも大切です。
持ち歩く中味は、流行りの白湯 (さゆ) からカフェラテやミルクティーということもありますが、水道水の頻度が高いです。外出時に、持って出るようにしています。最初の頃は、忘れることもありましたが、最近は持って出ることが板につきました。
数時間の外出時は 350ml で十分持ちますが、終日出かける場合は途中で足りなくなります。喫茶店やレストランで喉の渇きを癒すような優雅な過ごし方もたまにはいいですが、サクッと給水したいところです。
※上記の画像をクリックすると mymizu ホームページが開きます
そこでお勧めなのが、給水ポイントアプリです。公園や駅などの公共施設、お店やカフェ、ホテルなどの私的施設の情報が一目でわかります。ちなみに私が活用しているのは、mymizu というアプリです。
是非みなさんも、お気に入りを見つけて、マイボトルライフをエンジョイしてください。
地球温暖化対策にもなる
また、マイボトルを持ち歩くことは、地球温暖化対策にもつながります。
ペットボトル飲料は、主に消費者の喉の渇きを癒す数時間のためのものですが、相当な労力がかけられています。石油を輸入し、精製し、原料を作り、ペットボトル容器とし、中身が詰められ商品となり、スーパーマーケットやコンビニ、自動販売機などを通して販売される。そして、飲み干されたペットボトルは、捨てられて燃やされるか、リサイクルされる。燃やされれば、二酸化炭素が出ることは言うまでもありませんが、工程ごとに二酸化炭素が排出され、各工程をつなぐ物流でも二酸化炭素が排出されています。
お金があるからと言ってペットボトル飲料は買えても、住みやすい地球環境は買えません。
我々は、気候変動という大きな課題を目の当たりにしています。年を追うごとに、地球温暖化による強い影響を肌で感じることが多くなってきました。これまでの暮らしを顧みて、どんなに小さいと言われようが、一人一人の力を合わせていく必要があると思います。
国連は、地球 沸騰化 時代 が到来したと警鐘を鳴らします。
(国連事務総長 アントニオ・グティエレス氏 2023年7月)。
後悔先に立たずです。今できる簡単なことを、簡単なうちに少しずつやっていきましょう。
マイボトルを持ち歩くという行動は、誰でも取り組めることです。
マイボトルを持ち歩き、極力ペットボトル飲料は購入しない。まずはここから始めましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
我々一般市民にもやれることはまだ多くあります。一人一人の意識に変化が起きることを願って、これからも発信を続けます。